山根米コシヒカリ
山根米とは筑波山の北西山麓で、生産されるお米で山の養分をたっぷり含んだ沖積土壌と麓を流れる桜川の水で栽培されたものです。地元では、美味しいお米として知られています。
土づくり・元肥
冬の間に大豆くずや麦くず、発酵鶏糞を藁と混ぜ、耕しておきます。少しずつ分解し、ゆっくり稲に吸収され、地力となっていきます。
元肥は茨城県の特別栽培米用に作られた肥料を使用します。肥料の切れが良く、なかなか良い肥料なのです。
レーザーレベラー作業
水田を平らにする作業です。
水田はご存知のように水を張り稲を育てますので、水深が同じでなければ均一な成長はないし、雑草を防ぐにも水が必要です。
その為、昔から水田は代かき作業で平らにしてきました。これは大変難しく毎回仕上がりを見るたびに反省です。
しかし今はレーザー光線を使い水田を鉋で削るようにして平らにします。
広い水田を数センチの精度で均す、すごい機械です。
暗渠排水工事
暗渠排水とは地下にある排水路の事です。水田は一見平らで何も無いように見えますが、地下に配水管が通っているのです。最近は水田作業も機械化が進み大型のトラクターやコンバインが使われ、乾いた固い田んぼが必要です。また、米の転作等もあり、畑作物の麦、大豆、野菜等も作る必要もあります。稲を作らない時は畑の様にするためには、暗渠排水で水田を乾かす事はとても重要です。
作業はバックフォーで深さ80㎝程度の溝を掘り、その中に排水の土管と吸水のモミガラを入れます。遮るものが無い水田での作業はとても寒いです。
種もみ温湯消毒
来月の種まきに向けて、まずは種の準備をします。
まず、種もみのノゲ取りや消毒を行います。ノゲ取りとは、モミの先端に長いトゲがあり(これをノゲと言います)このままでは種まき機械に引っ掛かり播く事が出来ませんので、機械でこすり落とします。
次に消毒をします。種もみは未消毒では「バカナエ病」「イモチ病」「線虫」など、いろいろな病害の危険性があります。
当社では温湯消毒という方法で行います。60度の温湯に10分間浸けます。手を入れる事が出来ないほどの熱さです。浸ける時間とお湯の温度が重要で熱すぎたり、長く入れすぎるとモミが死んでしまいます。
次に素早く冷水に浸けてよく混ぜながら中まで冷まし、脱水し、乾燥させます。
また、冷ます事や、乾燥が不十分だと発芽不良になってしまうので注意が必要です。しかし、薬品を一切使わず、環境にとても優しく、安全なやり方です。
種もみの目覚まし
種もみに浸漬という作業をして眠っている種を目覚めさせます。
1日間15℃の水に浸けて、それを合計7日間行い、積算水温(15℃×7日間)が100℃を超えると休眠打破でき、種もみからほんの少し芽が出ます。
米の種まき
種まきはこの機械で行います。
右手前から左の方へ、ベルトコンベアに苗箱が乗り、流れ作業で自動的に「培土」・「水」・「種」・「培土」の順番に投入され機械から出てきたときには、出来上がった状態になっています。
単純作業の様に見えますが、培土や水、種の量などは微量づつの調整が必要になり、適切に設定することが大切です。
出来上がった苗箱はハウスの奥から順に並べていきます。
自動で種まきが行われます。
プール育苗
プール育苗とは稲の苗を水の中で育てることです。
稲は水田で育てるので、水の中で苗を育てるのは当たり前と思われるでしょうが、一般的には苗は上から散水しながら育てます。
乾いた地面の上で育てる為、作業し易く、大規模に省力的育苗が出来ます。稲には厳しい環境になり、苗の時に発生する「立ち枯れ病」にかかりやすくなります。
しかし、プール育苗では育苗ハウスの中に水を張り、水の中で育つため、稲にとって良い環境になり、病害は発生しません。
しかも、プール内の水が保温材になり春先の寒さからも苗は守られます。
作業性は良くありませんが、自然の力を利用して合理的でありまた、当社で行っている低農薬栽培では欠かせない育苗方法です。
芽が出揃い、3㎝程度に伸びたら育苗ハウスの中に水を入れます。
代かき
代かき作業とは水田に水を入れ土をかきまわし、平らにすることで、稲は水を張り育てる為平らであることは大変重要です。また、かき回すことにより土が緻密になり水田に水を溜める事が出来ます。
その他にも生えている雑草をなくす効果もあります。昔は牛や馬の力を借り人も一緒に田んぼを歩きながらの作業で重労働だったそうですが、今はキャビンの付いたトラクターでの作業になり、時代の進歩に感謝です。
田植え(4月末から5月中旬)
代かき後3日程度経つとトロトロの土が落ち着き締まって水羊羹のような状態になり、田植機が綺麗に苗を植えられます。
田植は8条植を使うので、オペレーターより苗を運んだり、田植機に苗を乗せる作業が忙しく感じます。
GPS機能付きの田植
除草剤散布
除草剤を散布します。2020年よりラジコンボートによる散布を試みています。従来の水田の中を歩いて散布するよりも圧倒的に時間がかからないので作業効率がとても上がります。
プロペラの前方にあるタンクに薬剤を投入して使用します。
操作はこの小さなコントローラー一つで行います。
草刈り
田植も終わり、水田周辺の草刈り作業をします。
草刈りは大切な作業です。お米の収穫量とは直接関係はありませんが、水田の景観を維持したり、多様な植生を育てたりすることが出来ます。
現在は除草剤を使う場合も多くなってきましたが、当社ではできる範囲で刈ることにこだわっています。
しかし、草刈りは重労働です。すべて人力で行うのは無理ですので、写真のように場所ごとに機械を使い分けて行っています。
1枚目の写真の草刈り機は「オフセットモア」といい、草を刈る角度が自由に変えることが出来、短い法面を刈ります。
2枚目の写真の草刈り機は「ブームモア」といい、長い法面を刈ることが出来ます。
3枚目の写真は人力です。どこでも刈れます。良い汗をたっぷりかいて頑張ります。
水田の水管理
田植えも終わり、植えた当初はひ弱でフラフラと水に揺れていた稲も一月ほど経つと茎も太くなり、株も「分けつ」と言って根元から枝分かれし沢山の茎が出てきます。
田植えをしてから稲刈まではほぼ毎日朝、田まわり作業をします。
水田を見て回ることで、水田の状態、稲の様子などを観察します。
特に田植え後1か月は慎重に水の管理をします。
稲は水田の水の深さで成長が大きく左右され、深いと長さが伸び痩せてしまい、また水が無くなり田面が出てしまうと、成長を止めてしまい、代わりに雑草の芽が出てきます。
また、暖かくなるとモグラ、ザリガニが活発になり畔に穴をあけますので、水田からの水漏れは無いか畔を見て歩きます。
水田の水深は5㎝程度に保ち水の出入りがない状態を保ちます。そうする事により水温を上げ、夜間や気温の低い日でも稲を守り成長を助けます。
稲は水で育つと言っても過言では無いです。
2枚目の写真は水田の水の入り口、「水口」と言います。用水から必要な水を調整して入れます。
3枚目の写真は排水溝の水田の出口です。ここで水田の水の深さを調整します。調整するところを「オダ」と呼び、水田を深くすることを「オダを上げる」と言い、浅くすることを「オダを下げる」と言います。
稲の追肥
稲の花
梅雨明けの後の暑さで稲は植えた順に穂が出ます。
穂がでると同時に緑色のモミから白い雄しべが出て、すぐ受粉します。
稲は自家受粉できるのです。
稲穂出揃う(8月上旬)
稲穂が出始めて10日、早くも穂は頭を垂れ始めます。
暑さが続けば約一か月後には稲刈になります。しかし、暑すぎる夏は稲にとってもストレスが溜まり、高温障害が出て、米の品質を落とします。
8月中旬過ぎは朝夕涼しさを感じるくらいが良いです。
間もなく稲刈
水田は黄緑色に染まり、稲穂は垂れ、稲は実りました。
稲刈(9月上旬)
稲刈です。約10aで2.5㎏の種を播いたものが、5ヶ月で収穫時には500㎏以上の玄米が取れるのです。人に糧を与えてくれる自然の恵みの素晴らしさを感じます。
稲は自脱コンバインで刈取を行います。
コンバインの内部でモミと藁に分けられ、モミはタンクに貯まり、藁は後部より排出されます。
また、藁の排出の際、藁を細断するかそのままモミだけが取られた状態にするか選択できます。つまり、藁を他の用途でまとめて使用する場合(野菜栽培等で使われたりもします)は細断せず、使用しない場合はそのまま水田で分解され土に還りやすいよう、また耕起しやすいように細断します。
ライスセンター
刈り取られたモミは品質を落とさない為に、すぐに乾燥機に入れます。
乾燥機に入れるのは、ダンプピットというところにトラックに積んできたモミを流し込みます。そこから、昇降機で指定の乾燥機に張り込まれていきます。
仕上がりの水分は15%~15.5%にします。この水分は乾燥機が自動で計測しながら乾燥をしてくれるので、%を設定しておくと夜通し乾燥が行われます。翌日には、すぐに籾摺りを行います。4台ある乾燥機を順次空にします。1台空になり次第、当日の稲刈りが始められます。
籾摺りは乾燥機から順次ベルトコンベアで上部に設置したタンクに運ばれ、そこから籾摺り機に流れます。
籾摺りとはモミの表面にあるもみ殻を取り除く作業です。ここでようやく玄米の状態になるのです。
その後、色彩選別機を通し、小石等の不純物を取り除きます。
最後に新たなタンクへと運ばれ、ついに出荷用のフレコン(1,020kg)や紙袋(30kg)へ入れられます。
米の検査
米は出荷する前に全量検査します。これは穀物検査法によって品位等級が付けられ、品質に応じて1等から3等及び規格外まであります。産地や生産年度、品種も検査証明証に記載されます。
当社では1名検査員資格を有しており、検査業務を取り仕切り検査は厳格に行われます。
米の等級
等級は良い順に1等、2等、3等、規格外と穀物検査法の基準によって分けられます。左の写真で違いが分かるでしょうか。1等は整粒歩合70%以上で、2等が60%以上です。違いは熟練しないと見分けるのが難しいです。外国の米からすると、日本の米の検査は厳しく行われていると言われています。それにより米の品質が維持され、皆様に美味しいお米を出荷することが出来るのです。ただ、1等、2等で食べ比べてみても違いはありません。白米になるまでの歩留まりが多少変わるだけですので2等が悪い米だと思わないでください。細かい基準によって分けられているということです。
トレーサビリティへの取り組み
2010年10月1日よりトレーサビリティ法が施行され、何日、何処へ、何を、どれだけ出荷したかを明確にし、この情報は生産現場ばかりではなく、流通、小売に伝え、各段階で記録は保存しなければなりません。今回、山根米の袋でトレーサビリティの一つ、何を出荷したかを説明します。
左の写真は山根米30㎏の袋です。
まず正面に有るのが検査証明書の枠です。これは重要で人で言えば出生証明です。
品種、生産年、生産場所、重量、品質(等級)が明記されます。ここに記入されたことは穀物検査法の基準で、検査され記入するものです。小売する場合、品種、年産、生産地はここに書かれていること以外は書けません。
この袋には、通し番号を付けています。(表記の袋番号は101551)
番号を見ればこの袋の米がどの様に生産されて来たか、田植から管理、水田の場所、稲刈り、乾燥された日にちまだ分かり、食味値まで分かります。
これは今後皆様にお届けするお米が美味しく、安心して食べていただくための資料となるものです。