大豆作り

GISを利用した作付け準備

GISでの圃場管理

品質の良い大豆を作る為には、圃場ごとの栽培計画が重要で、過去の作物や施肥、管理、病虫害などを参考にしながら決めます。現在は圃場数も多いためGISを利用しています。大変優れ物で、圃場ごとに記録した情報で色分けする事ができ、作業がスムーズに進みます。また、圃場ごとの記録が残りトレサビリティーとしても使えそうです。

肥料まき

まずは前の作付けの麦の藁をすき込みながら畑を起こします。

発酵鶏糞の積み込み

大豆は有機質の肥料を使うと成長が良く良質の豆が出来ます。その為、発酵鶏糞を畑全面に散布します。

種子消毒

しろい大豆を、蒔く時には真っ赤に染めます。

なぜか?

赤く染める事で鳥害を防ぐことが出来ます。発芽すると赤い子葉が出て、鳥が大豆と思わないのでしょうか?なぜか鳥は食べませんので効果はあるようです。また、土壌中の種子防腐効果もあり発芽率を上げる働きもあります。

大豆種まき 7月

大豆の種まきは梅雨の時期でもあり天候を気にしながらの作業になります。

現在作業は機械化されていますが、神経を使います。それは、発芽の状態の良し悪しでその後の生育が決定されるからです。

特に種まき直後に強い雨に当たると芽が出ず、また遅れて出たとしても生育が悪く収量は望めません。豆は気難しいのです。

大豆は種まき直後に除草剤も散布します。土の表面に除草剤の膜をはるのです。

播種から約1週間

8日前に撒いた「タチナガハ」(品種名)です。

今は子葉の養分で育っていますが、梅雨明けの強い日差しを受け、みるみる大きくなり畝をふさいでゆきます。

中耕培土

夏の強い日差しの中、大豆は日々成長が分かるほど育ちます。

種を播いてから一月近く経つと梅雨の雨に叩かれ、畑は固まり、雑草も生えてきます。この時期に大豆の成長を促し、雑草を枯らす為に中耕培土をします。

これはカルチベータで地面を砕き、土を大豆の株元に寄せます。この作業によって新しい根が出、雑草に負けない丈夫な大豆が育ちます。

草取り作業

前年作ったそばの実がこぼれ8月頃になると大豆の間に生えてきます。大豆より背が高くなり、大豆の成長が止まっていしまいます。毎年シルバー人材センターより応援を頼み人力で抜き取ります。70歳前後のおばあちゃんたちが来てくれますが、みなさん元気でおしゃべりをしながら炎天下の中年齢を感じさせない仕事をしてくれます。

大豆の花 8月

葉の付け根に紫色の花が咲きます。草丈を伸ばしながら節ごとに沢山花をつけます。

この時期になると葉は茂り地面が見えなくなります。こうなれば雑草にも負けません。

幼莢(大豆の赤ちゃん)

強い日差しの中もくもくと葉は茂り、その中では2週間前に咲いた花も終わり、小さな莢が育っています。この時期を幼莢期と言い、病虫害が発生し易くその為消毒をします。また普段大豆は乾燥に強いのですが、土に水分が無いと莢付が悪くなり収量に影響します。人間ばかりでなく大豆も天の恵みの雨を待っています。

害虫大発生

時には、畑では虫が異常なほどの大発生することがあります。写真は2010年のものです。

特にヨトウムシ(夜盗虫)の被害はひどく大豆の葉は透かし状態になってしまいました。

この様な状態になるのに10日程度しかかかりません。ヨトウムシは昼は土の中に隠れていますが、夜になると地面が虫虫虫虫・・・になるほど出てきて葉を食べます。殺虫剤にも抵抗性があり、駆除も思うようにいきませんでした。この年は猛暑が原因と思われます。困ったものです。

実入り 10月下旬

大豆も実りの時期を迎え夏空の下青々と茂っていた葉も黄色く変わり大豆の実は莢の中で丸々膨らみます。 葉が緑から黄色に変色する事は正常に葉の養分が実に移行した証でもあり、農家にしてもこの様に美しい 畑を見せてくれる大豆を愛しく思えるしまたまた誇らしくも感じます。             収穫は汎用コンバインで刈り取られます。汎用と名前があるように、ほぼ穀類は何でも収穫できます。しかし刈り取る作物によってコンバイン内部を入れ替える必要がある為、整備には時間もかかりますし、熟練も必要です。また、乾燥設備も稲から大豆に切り替える為、作業小屋は整備工場の様です。

created by dji camera

大豆収穫

大豆は収穫が大変難しく、空気が乾燥していると豆のさやからの実離れもよくなりますが、良すぎてはじけてコンバインのバケットから出て行ってしまうこともありますし、一方で収穫時期が遅れてしまうと勝手にさやがはじけて収穫前に実が落ちてしまうことや、湿度の高い日は実離れがわるくなったり、豆がよごれてしまったりするので神経の使う仕事です。

収穫後は、当社の乾燥施設に運ばれ乾燥させたら1000㎏づつフレコンに詰めて貯蔵し大豆の全収穫が終わり次第調整を行います。

選別調整作業

大豆作業も終盤です。畑から刈り取られ貯蔵されていた大豆は順次、選別機により異物を抜かれます。その後ふるいを通し大粒、中粒、小粒に分けます。これは他の穀物と違い、大豆は同じ株でも実の大きさがバラバラの為です。出荷後いろいろな用途に対応するためもあります。

選別結果

選別した大豆はとても綺麗です、丸くてピカピカしています。

大豆の品種

大豆の品種はどのくらいあるかご存知ですか。現在の奨励品種だけでも80種類ぐらいありますが、その他にも各地方で栽培され、保存されてきた在来品種が多数あり、おそらく正確な数はわからないかも知れません。各県に有る奨励品種は栽培しやすく多収で経済的にも有利で大豆栽培農家はこの中のいずれかを作っています。当社でも、豆腐、煮豆用の「タチナガハ」と納豆用の「納豆小粒」を作っていますが、その他に小面積ですが、在来大豆の「茨城在来」大豆も作った経験があります。これは奨励品種と違い省力的機械による栽培に向きません。背が低く地面を這うように伸び、収穫にとても苦労し、天候に左右され収量も少ししかありませんしとても作りずらいです。しかし、枝豆で食べるとポップコーンの様な香りがし、甘味も強く絶品です。また、豆腐に加工もしてみましたが、豆腐の領域を超え甘さと風味がありスイーツの様でした。

写真は左から 納豆小粒大豆・茨城在来大豆・タチナガハです。